05. この世は爺ぃの為にある
画面の向こうでジョージが一層光り輝いている。
「それってさ、命削ってる事にならない?」
どこまでもスージーは残酷なまでに冷静だ。 グランパたちはこぞって沈黙し凍りついた。
「……か、帰って来い、わしっ!」
「は、早まるな、わしっ!」
小さなジョージたちは画面にへばりついて叫びだした。
無駄なのに……。
と、その時ミニ・グランパ達の黄金の頭が、一斉に光り始めた。
きぃん……きぃん……きぃぃんん……
「や……止めるんじゃ! わし! 命が……」
頭を押さえ、各自ひとりでしゃべっているおじいちゃん達。
「……どうしたんだろう? グランパ達」
「テレパシーとかそんなモンじゃないの?」
オーラ発光もアリなら、もうなんでもアリだよと息をつく末孫。
「あ! それじゃスージー! よし、わしがこのテレパシーをお前達にも伝えててやろう」
ジョージのひとりが口をカパッと開け、カクカクと伝達する。
«ふっふっふ……案ずるな、わし達よ! これは“ゴールデン☆グランパ・スケルトン・フラーッシュ☆☆☆”じゃぞ!»
「だから危ないんじゃ! それは!」
「命を削ってまでせんでいい!」
«ふぁっはっは! その点に関してはボニーが助けてくれる!»
「え……ええ? ア……アタシぃ?」
突然指名され、ボニ―は戸惑う。
«ほれアレじゃ、アルミホイルの何とか電流! “ゴールデン☆グランパ・スケルトン・フラーッシュ☆☆☆”は、あの電流を骨中に蓄え、出せる技なのじゃ! きっとボニーはそれに気づき、アルミホイルを出してくれたんじゃ!»
「おお! そうだったのか、ボニ―!」
「えらいぞ! 流石はわしの孫じゃなっ!」
「……ええっと……よかったね、グランパ……命削らずにすんで」
本当にそれで良かったのかどうか、彼女の複雑な表情からは、真実がありありと語られてくる。
「でもグランパ……」
«ぬおっ! 話し掛けちゃいかん! 今集中せねばこの“ゴールデン☆グランパ・スケルトン・フラーッシュ☆☆☆”が破れてしまう! ちょっとした気の緩みは禁物じゃ! しかあし! 大気圏よ、この技に挑むなど、みくびったな! 何故ならこのわしは今、 “スーパー★ゴールデン☆グランパ・ジョージ・スケルトン”じゃからなっ!»
最強! 最高! 最上級!
スーパーじいちゃん、今宇宙へ!
「……グランパ?」
«なんじゃ?»
「……無事?」
«あったりまえじゃあ! 何せ、わしは“スーパー★ゴールデン☆グランパ・ジョージ・スケルトン”じゃもんね!»
「……今、宇宙?」
«おお! そう宇宙じゃ! 綺麗じゃぞい! ここは!»
「……大気圏……突き抜けたんだ……」
«ふん! 大気圏か! この必殺技をお見舞いしてやったわい! ヤツめ、悲鳴を上げて粉々に散りおったわっ!»
ひゃあ、かっこええ!
と地球のミニ・グランパ達は、もうヒーロー万歳! とテンションは最高潮で大喜び!
それに反比例して、家族達の気分は盛り下がっていった。
ひゃあひゃあ嬉しそうに騒いでいるミニ・グランパ達を、見れば見る程、ああ、いけない魂よ戻っておいで、と、平常心の保持に必死だったのだ。
いや、待ってグランパ。 あれだけしゃべくりながら、気の集中ができたの?
スーパー★ゴールデン☆グランパ・ジョージ・スケルトンって何だよ?
それに大気圏は別に、グランパに戦いを挑んだ訳ではないと思うよ……てか
「たっ……大気圏、破壊しちゃだめだろ!」
«ふふんっ 分かっとらんなぁジャックは。わしは今、最強で最高で最上級なんじゃ! 何をしても許されるんじゃあ〜〜!»
「ぎゃあぁ! グランパなんかヘンだよ、帰ってきてー!」
暗黒の破壊神が、宇宙に踊るイメージが過った!
「……家族の平和を壊しても飽き足らず、宇宙の平和までもを破壊し尽くす気よ、あのグランパ……」
ぼそっと呟くボニ―……
「……この世の終わりが来たか……」
ひそっと嘆くピーター……
何か言う暇も無く、ふらりと倒れるお母さん……
「グランパ、気象衛星のロケットは大丈夫なの?」
冷静スージー。
次兄はこの時、何でこんな状況でそんなに頭が働くんだ! と涙を流したとか。
«もっちろん! でもこれ取れないんじゃ、『超とろーぴかるガム(キシリトール配合)』が強力過ぎて……仕方あるまい、ここはひとつ“ゴールデン☆グランパ・スケルトン・フラーッシュ☆☆☆” をMAXで喰らわせてやるか!»