ギャグ小説

楽しげなスケルトン一家3・ランナー

楽しげなスケルトン一家3・ランナー

06. 爺ぃよ何処へ行った

「うわあぁ! ロケット壊す気満々だー!」

「さっきの“ゴールデン☆グランパ・スケルトン・フラーッシュ☆☆☆”でよく壊れなかったよね、ロケット」

妹の神経と祖父の無神経さにとめどなく溢れる涙が、ジャックを飲み込む。

がぼがぼがぼ

しかし! いくら嘆いても悔やんでも、もう遅い!

グランパの超大技は、全宇宙に響く!

 

ぺかぴかあー!

 

…………。

 

『えー、臨時ニュースをお伝えします! 先程打ち上げが成功した気象衛星“乗自1号”が、な、な、なんと! う……宇宙でき、きき、消えてしまった模様です!』

「じょうじ1号?」

「ああ、ロケットか」

「ふぅん、消えたんだって」

……。

「っぐ……グランパあーー !? 」

「っわしぃぃぃぃぃぃぃぃ !? 」

破壊神は消えた。

「……わ……わしからの通信が……途絶えた……」

「そ……そんな……グランパが……」

「わしが……」

「死んじゃったあーー!」

ばこっ

「痛あっ!」

「なに泣いてんだ、お前は! そこにグランパいるだろうが!」

ミニ・グランパ達と一緒になって泣いていたジャックは、今自分が誰と何をしているのかを思い出した。

「グランパ……良かった生きてたんだね !? 」

「まだうじゃうじゃとな……ほら! グランパ達も泣くなよ!」

オメデタイ弟を放っておき、ぐすぐす泣くグランパ達を宥める兄。

「ピーター?」

「何だよジャック、ぼけっとしてないで、お前もグランパ達をなんとかしろよ!」

「いや……なんか今のピーター、冷静だね……」

「あたしの冷静さを少し分けてあげたの」

さらりとそういうことを言うスージーに、ジャックは『常識』の壁を越えたことを確信した。

こうなった原因はもちろん、グランパ・ジョージにある。

「……ああ! う……宇宙に行っちゃったグランパは……」

「……死んだんじゃろう……通信が途絶えたのがその証拠……」

ミニ・グランパ達は自分の死を悼み泣いた。

「……それが、大丈夫みたいよ、あのグランパは……」

振り返ると、ボニーがくいっと顎を杓った。

先にはつけっぱなしのテレビのニュース。

『……ロケットは大丈夫なんですよ!』

「……誰? この人」

「さっき来たゲスト。 ナントカ理論に詳しいセンセイらしいけど」

ボニーはテレビの音声を大きくした。

『というよりスゴイことですよ! 宇宙でですね、ロケットからですね、何らかの強い電磁波による発光がこう生じたんですね! するとですね、光によってですね、時空間にズレが出来たんですね! するとどうなるかと言いますとね、なんとですね! タイム・トリップしてしまうんですね!』

ものすごくエセっぽいそのセンセイは熱弁する。

「……これ、ホントにニュース番組?」

「年末の特番に出てきそうだよなあ」

アナウンサーも困っていた。

分かるようでわかんない……そんな顔で聞き流していた。

「でもさ」

スージーが口を挟む。

「もし仮に、この人の説を取るとしたら、宇宙に行っちゃったグランパは、ロケットと一緒にどこかの時間にタイム・トリップしたってことだよね。 有り得るよ、あのグランパだし」

「そうじゃなあ! 充分有り得る! 何せやつは“スーパー★ゴールデン☆グランパ・ジョージ・スケルトン”じゃからな!」

何時の間にか、元気を取り戻したミニ・グランパ達がきゃいきゃい騒ぎ踊っていた。

とてもうらやましい……という気持ちをブンブン撒き散らして。

2004.07 投稿(2009.08 一部加筆修正)

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