短編集

幸せの花

幸せの花

人が幸せの花を手に入れました。 その花が咲き続ける限り、人は幸せを得られるのです。

 

ある人は、一生懸命、幸せの花を咲かせ続ける方法を考えました。 考えて、考えて、考えて、考えて、考える事に一生懸命になって、その花を枯らしてしまいました。 そして、その人は不幸になりました。

 

ある人は、一生懸命、幸せの花を咲かせ続ける為の研究をしました。 研究を繰り返して、繰り返して、繰り返して、繰り返して、花を咲かせ続ける事に成功しました。 けれど、その人は不幸になりました。

 

ある人は、幸せの花が枯れる事が恐ろしくて悲しくなりました。 悲しくて、悲しくて、悲しくて、悲しくて、悲しすぎて花を引き出しに入れたまま、育てようとしませんでした。 そして、その人は不幸になりました。

 

ある人は、一生懸命、幸せの花を育てました。 つぼみは膨らんで、膨らんで、膨らんで、膨らんで、ついに花が咲きました。 その人は幸せになりました。

その人は、花を育て続けました。 幸せの花は、咲いて、咲いて、咲いて、咲いて、ついにしおれて終わってしまいました。 その人は花を捨てて、新しい幸せの花を捜し求めました。 そして、その人は不幸になりました。

 

ある人は、一生懸命、幸せの花を育てました。 つぼみは膨らんで、膨らんで、膨らんで、膨らんで、ついに花が咲きました。 その人は幸せになりました。

その人は、花を育て続けました。 幸せの花は、咲いて、咲いて、咲いて、咲いて、ついにしおれて終わってしまいました。 そして、その人は不幸になりました。

辛かったけど、悲しかったけど、恐ろしかったけど、その人は、終わった花をまだ育て続けました。 育てて、育てて、育てて、育てて、育て続けても何も起こりませんでした。 その人は、まだ育て続けました。

 

その人は信じていたのです。 きっと咲く、きっと咲く、きっと咲く、きっと咲く、そして次の年、幸せの花はまた咲きました。 その人はまた幸せになりました。

ふっと頭に浮かんだまま執筆しました。(筆の神様、ご降臨! ありがとうございます。)

2004.01.23 掲載(2009.08 一部加筆修正)

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